こんにちは。ダンスブロガーのGAKUTOです。
こないだ世界を代表するハウスダンサーのHIROさんの座談会に行ってきました。
そこで一つ印象的だったお話が「ハウスダンスで悲しみとかを表現してるわけではない。」という言葉です。
HIROさんの座談会
ストリートダンサーであれば知らない人はいないであろうHIROさん。
世界中を飛び回るハウスダンサー界、いやストリートダンス界ののスーパーダンサー。97年より渡米。全米No.1ヒット曲「レディ・マーマーレード」など数々のヒット曲を発表してきたMYA(マイア)のツアーダンサーを務めるなどニューヨークで4年間のダンサー生活を送ります。HOUSEのオリジネーター集団”DANCE FUSION”に所属し数々の活動を経て帰国。チーム”ALMA”や”S.T.O”を結成し、数々のイベントやコンテスト、バトル、バックダンサー出演など、また海外でもワークショップやゲスト出演、審査員など幅広く活動し、世界中に影響を与えています。
「STREET DANCE CAMP JAPAN(SDCJ)」を始め、「THE ABSOLUTE!」、「HOUSE DANCE CROSSING」、「FOREVER JAPAN」など数々のイベントのオーガナイザーとしての顔も持ち、ダンス界の発展に尽力しています。
私も大ファンです。
そんなHIROさんの座談会が先日、年末年始の特別イベントとしてDANCE WORKSで行われました。
去年の座談会では
前回はHIROさんのヒストリーやバトルに勝つ為の心構え、
音楽・音源へのこだわり等、普段はなかなか聞けない話を、しゃべり場スタイルでご紹介!!
一人ひとりの質問に対して、丁寧かつ、かなり深い所までお話してくださり、
とても濃い90分でした!引用:DANCE WORKS
とあったし、個人的にいろいろお聞きしたいことがあったのでとてもウキウキ気分で当日仕事終わって新幹線に乗って向かいました。
で、座談会に参加した感想を一言でいうと、
ヒロさん、さすがです。。
って感じでした。
うわーー、そんなところまで考えてるんですね、と思わされました。
HIROさんのお話でいつも好きなところは包み隠さずズバッと言ってくれるところなんですけど、だからこそ響いてくるし、納得もできて、、
座談会、そしてそのあとの飲み会を合わせて7~8時間お話を聞いたんですが全然飽きないし、もっともっと聞きたい気持ちになりました。
一度もお話ししたことがないダンサーの方はぜひHIROさんのお話を聞いていただきたいっ!!
座談会では、ハウスダンスのカルチャーのお話からこれからのダンスシーンのお話、またストリートダンスのビジネスの考えから、HIROさんの初めてのバトルのことなどいろいろ聞けました。
ストリートダンスは伝わり辛いのかも
「これから2017年のストリートダンスのシーンは変わっていくのでしょうか。HIROさんが今増やそうとしてるしてるコンテンツ(STREET KINGSなど)を見るとなにか感じるものがあったので。」
という質問を私がしたことから始まった話で、私ごときがおこがましんですが、HIROさんの回答をちょっと省略して書かせていただくと、
ストリートダンスシーンはあまり変わらないかなって思う。もちろんより良い方向に変わってくれたらすごく良いことだけど。
いろいろコンテンツを作り出してる時の気持ちとしてはどちらかというと出来るだけ悪い方向へ行かないように、まずは現状維持出来たらいいなという想いでやってるところはある。
STREET KINGSみたいなダンスバトルのコンテンツを作り出してる一つの理由として、(ビジネスのことも考えたうえで)ダンスバトルがストリートダンスにおいてしか作れないものだと思ってるから。
ストリートダンスを舞台としてやると、演出のプロに「どういう感情の表現をしてるんですか??」って聞かれることがある。いやいやハウスダンスで悲しみとかを表現してるわけではない。ハウスダンスを表現しているんでしょ。って思うけど、それが伝わらない。
だからといって舞台側の考えに寄せてしまうと、ストリートダンスの良さが伝わらない。
そういう意味でダンスバトルはストリートダンスのかっこよさとかインプロビゼーション(即興)が発揮できるものだと思う。(Red Bull BCとかが良い例。)
ストリートダンスの「ストリートダンスとしての価値」を出来るだけもっと上にしていきたい。
みたいなことをおっしゃってくださいました。
ことわっておきますと、この文はHIROさんがおっしゃったままではありません。というのも録音してなくて、メモのみだったので、、
そしてかなーり略してます。
ただまとめるとおそらくこのようなことをおっしゃっていたと記憶しています。
この中で特に印象に残ってる言葉は「ハウスダンスで悲しみとかを表現してるわけではない。ハウスダンスを表現しているんでしょ。」というものです。
実は去年のSTREET DANCE CAMP JAPANでもHIROさんはこのお話をしていました。
参照:【全ダンサー必見】ダンスで大切なこと! HIROさんのお話し(SDCJの動画から)
この言葉は前回聞いた時もすごく印象に残ってて、今回もお話しされたことから、現状ではなかなかやっぱりストリートダンスの面白さはダンスをしてない人には伝わり辛いのかもしれないなって感じました。
ストリートダンスで別に感情とか表現したいわけではない
正直私がストリートダンスをしていて、もし「どういう感情の表現をしてるんですか??」って聞かれたらたぶん
「は!?」
言ってしまうと思います。
確かにその音楽から歌詞やメロディーから感情が伝わってきてそれがダンスに出るかもしれません。
ただ全部が全部がそうではなくて、例えば単純なインスト(簡単に言てしまえばヴォーカルがない曲)とかを聴いて、感情的になってダンスしてしまった!なんて話はないでしょう。
音楽を聴いてノッて、ダンスするのです。
感情が大きな論点になることは明らかにおかしい。
ストリートダンスを学んでそのかっこよさ、技をHIPHOPやFUNK、クラブミュージックなどの音楽に合わせて繰り出してるんです。言ってしまえばそのカルチャーを踊ってるんです。
他が主題となることがおかしい。
というかこんなの私からすると当たり前だし、他の人もけっこう普通な考え方だと思います。
単純にそのダンスがかっこいい!って思ったり、そのダンスを踊ってみて楽しいって思ったり、音楽に合わせて踊るのがスゴイと思ってダンスしてる人が主なんじゃないでしょうか。
ストリートダンスカルチャー以外の何かを表現したいわけないじゃないか。。
確かに舞台では、舞台という性質上、何かの想いをのせて、その想いの伝え方のツールがダンスであるという考え方が一般的なのかもしれません。
だけど、ストリートダンサーはそんなところに魅力を、価値を、楽しさを感じていないのです。
ストリートダンスそのものが好きだから踊ってるんです。
ストリートダンスは見る側にとって高度なものなのかもしれない
ただもしかしたらこの気持ちはなかなか理解されにくいのかも知れません。
なぜならストリートダンスは見る側にとって高度なものなのかもしれないからです。
まずダンスをしてない方は、ストリートダンサーは音楽に合わせて踊っている、音楽をとても大切にして踊っているということを知らないかもしれません。
ストリートダンスを見る醍醐味として、「その音楽、音をそういう動きで表現するんだ!」っていう感動があります。しかしダンスをしてない人にとって、何も意識しないで音楽の流れや細かい音を聞きながらダンスを見ることはなかなか難しい作業なのかもしれません。
またある程度ダンスのカルチャーを知っていないととその人がなぜそういう格好をしてそういう踊りをしてるのか十分に伝わっていないことも多々あると思います。
こういう意識や知識が必要とされるという意味で、ストリートダンスは見る側にとっても高度なものなのかもしれないんです。
だから演出家の人たちはストリートダンスの楽しさを理解できなくて、感情とか別な何かを主題にしようとするのかもしれません。
ただうーん、別に感情とかを表現したいなんて思ってないって、ベクトルはそこにはないって、ストリートダンスを見ればわかるような気がするんですけどね。
だって演出家の人だって、ストリートダンスを見てただただかっこいいって思ったことって1度くらいはあるんと思うんですよね、、
これからはよりストリートダンスが理解されていくのではないでしょうか
ただ私はこれからはもっとストリートダンスのことが理解されていくんじゃないかなって思ってます。
というのも私はじめ、今の30~40歳より下は、一度は文化祭でもテレビでもなんでもストリートダンスを見たことがある人が多いはず。授業でもやってるわけだし。
だからダンスを見て単純にかっこいいって思ったり、ダンスをして楽しいって思う人も今まで以上に増えていくはず。
というか今までが理解されにく過ぎたのかもしれません。
ほんの10年くらいまではあまり良いイメージ持ってる人もそこまでいなかったし、今でさえストリートダンスについてインターネットで検索してもちゃんとした情報そんなに出てこないですしね。
感情とかを表現したいがためにストリートダンスをしてるんじゃない、ストリートダンスカルチャーが好きで、ストリートダンスがかっこよくて、ストリートダンスが楽しいから踊り続けているんだってことがこれからより理解され、またいろいろな魅せ方や楽しみ方が生まれていくのではないでしょうか。